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糖尿病治療

糖尿病とは?

糖尿病とは、膵臓から出される「インスリン」というホルモンの量が少なくなったり働きが充分でなかったりすることで、血中のブドウ糖が多い「高血糖状態」が長期間続いてしまう病気です。
高血糖の状態が続くと体のあちこちに糖尿病特有の合併症が現れ、多くの臓器に異常をきたします。そのため、臓器の異常ができるだけ生じないように血糖値を調整していく必要があります。

1,糖尿病の種類

糖尿病の種類は1型糖尿病と2型糖尿病とその他の糖尿病と妊娠糖尿病で4種類あります。
生活習慣や遺伝的な糖尿病のなりやすさが原因となっている2型糖尿病は、日本の糖尿病患者の10人に9人以上と言われており、一般的に糖尿病と聞いてほとんどの方がイメージされるのはこの2型糖尿病かと思います。

・1型糖尿病

すい臓がインスリンをほとんど、またはまったく作ることができないタイプです。
そのため、治療はインスリンを注射しなければなりません。1型糖尿病の原因は正確にはわかっていません。若い方の糖尿病では1型糖尿病が多いですが、年齢に関係なく発症が見られ、頻尿や口渇、体重減少などの症状が突然あらわれることが多いです。

・2型糖尿病

2型糖尿病は、次の2つの因子が原因で発症すると言われています。
•「インスリン分泌低下」
すい臓の働きが弱くなりインスリンを作る力が低下すること。
•「インスリン抵抗性」
肝臓や筋肉などの組織がインスリンの働きに対して鈍感になり、インスリンがある程度出ているのに効きにくくなること。

2型糖尿病では体質(遺伝)以外にも、肥満や運動不足や食べすぎといった生活習慣の乱れが、この「インスリン分泌低下」や「インスリン抵抗性」を引き起こすと考えられています。
そのため、

 食べ過ぎの人
 太りすぎの人
 家族に糖尿病の患者がいる
 著しい運動不足

に心当たりにある方は早めの検査をお勧めします。

2,どのような症状が出るの?

糖尿病は、初期の段階では自覚症状がまったくないことが多く、症状があらわれるとしても、非常にゆっくり、少しづつ次のような症状があらわれます。

•疲労感
•皮膚が乾燥して痒い
•手足の感覚が低下する、または、チクチク指すような痛みがある
•感染症によくかかる
•頻尿・尿が多い
•目がかすむ
•性機能の問題(ED)
•切り傷やその他の皮膚の傷が治りにくい
•空腹感やのどの渇きがひどくなる

3,糖尿病が引き起こす合併症とは?

糖尿病は、神経や目や腎臓などにさまざまな障害を起こすことが知られています。また、心臓病や脳卒中など、直接死亡リスクに関係する動脈硬化を引き起こすこともわかってきました。
糖尿病は自覚症状がなくても、見えないところで合併症が進行しています。そして、気がついた時には合併症のため、日常生活に支障があらわれているということが少なくありません。
しかし、きちんと血糖値をコントロールできれば、合併症を予防できることがわかっています。そのためにも、しっかり治療を行い、きちんと血糖値を下げることが必要です。

・糖尿病性神経障害

高血糖により、手足の神経に異常をきたし、足の先や裏、手の指に痛みやしびれなどの感覚異常があらわれる合併症です。
これらは、手袋や靴下で覆われる部分に、“左右対称”にあらわれる特徴があります。痛みが慢性化する場合や、進行して知覚が低下した結果、足潰瘍や足壊疽となる患者さんもいます。症状がある場合は、早めにご相談下さい。

・糖尿病網膜症

高血糖により、眼の網膜にある非常に細い血管がむしばまれていく合併症です。
進行してしまうと失明に至ります。糖尿病網膜症は、自覚症状がないまま進行していきますので、早期発見と進行予防・治療のために、年に1回以上眼底検査を行うことが必要です。当院では、定期の内科受診の際に併設している眼科も受診することが可能です。

・糖尿病性腎症

高血糖により、腎臓にある非常に細い血管がむしばまれていく合併症です。
進行すると、老廃物を尿として排泄する腎臓の機能が失われてしまうため、最終的に透析治療を要することになります。
この合併症も自覚症状がないまま進行していきますので、早期発見のためには、定期的に腎臓の機能を検査する必要があります。


・動脈硬化(脳卒中・心臓病)

糖尿病は動脈硬化の原因となり、心臓病や脳卒中を引き起こします。
特に、食後の高血糖が動脈硬化を進行させることが知られています。
動脈硬化を抑えるためには、糖尿病に加え、高血圧、脂質異常症、肥満をしっかり管理することが大切です。
これら4つの生活習慣病が合併すると、動脈硬化の進行が加速し、心臓病や脳卒中を起こす危険が一段と高まるため、減塩などの栄養指導や運動療法なども併用し総合的に治療を進めていきます。


4,定期検査で病状をチェックする

糖尿病の初期は自覚症状がほとんどありません。病状を把握するためには血糖値やHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)を継続的に検査することが必要です。HbA1cとは、1~2カ月の血糖値の平均を示す指標で、数値は合併症の進行と深く関係しており、年齢や病状にあったHbA1cの目標を立て、治療を進めていくこととなります。
当院では、定期的に受診していただいた際に、まずHbA1cや血糖値などの採血検査や尿検査などの検査を受けていただき、その結果をもとに診察を受けていただきます。
また、インスリン治療などで注射治療をされている方には、保険適応で自己血糖測定が可能です。日々の血糖値の変動などから外来で最適な治療を探っていきます。
さらに当院では、24時間の血糖モニタリングが可能なFreeStyleリブレを使用することが可能です。FreeStyleリブレは、上腕に500円玉大の大きさのパッチを貼るだけで血糖のモニタリングが可能であり、今まで分からなかった夜間や食後の血糖値の変動を見ることが可能となるため、より最適な食事、運動、薬物療法をご提案することができるようになりました。
(FreeStyleリブレが使用できるかは治療の内容によって異なりますので、一度主治医へご相談下さい)


5,治療を継続しましょう

糖尿病治療の目的は、高血糖が引き起こすいろいろな合併症を予防し、たとえ発症しても悪化を阻止することです。そのためには、血糖値をできるだけ正常にする必要があります。
治療は基本的に食事療法、運動療法、薬物療法の3つを組み合わせて行われます。その中でも重要なのが食事療法と運動療法になります。
まずは食事療法と運動療法などで生活習慣の改善を行います。それでも目指すべき血糖の目標に達しないときに、内服薬や注射薬による治療が行われます。
薬による治療を始めた後も、食事療法や運動療法は続けていきます。薬物療法が始まったからといって食事療法や運動療法をやめてしまうと、肥満が進んでしまったり、インスリンの働きが悪くなったりして、治療の効果が弱まってしまうためです。

当院では、糖尿病専門医のもと糖尿病の適切なコントロールによる合併症予防を目指して、グルコースモニタリングなどを適宜利用し、患者様おひとりおひとりの糖尿病の状態を把握した上で、患者様ご自身と一緒に考えながら、看護師、管理栄養士と共にライフスタイルに合わせたきめ細かい治療を提案させていただきます。
また、治療において最も重要なのは、定期的に受診し治療を継続することです。そのためにも通院しやすい環境となるように病院全体で努力していきます。
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